新型コロナワクチン日本で接種すべき?留学先で接種すべき?

新型コロナウィルスが猛威をふるい、留学になかなか行けない日々が続いていましたが、今年の春頃からワクチンが普及したこともあり、多くの国への渡航や留学が可能となっています。

そんな中叫ばれるワクチン接種。国によっては海外からの留学生や旅行者も無料でワクチンが受けられるとあって、留学中にワクチンを受けられている生徒さんも多くいらっしゃります。

またフランスでは2021年7月12日のマクロン大統領の会見および翌日のヴェラン保健大臣の発表により、8月からカフェ、レストラン、ショッピングセンター、病院、高齢者施設、飛行機、電車、長距離バスの利用にあたって、18歳以上の方には「衛生パス」が義務化されることが明らかとなりました。この「衛生パス」がない方はレストランや長距離電車等の利用の際その都度PCR検査や抗原検査を自費で受けなければならなくなることから、フランスへの渡航前に日本でワクチンの接種をしておいた方がよいのでは?という問合せも多くいただいたおります。今日はこちらの質問について書いてみたいと思います。

ワクチン接種を日本でするメリット

  • 副反応があっても家族のサポート、自国での環境への安心感がある

慣れない海外でワクチン接種をして服反応が出てしまった場合、現地での病院へ行ったり、慣れない外国語で症状を説明したりするのは不安という方も多いかもしれません。海外留学保険に加入している方の場合、ワクチン接種による服反応にも治療の補償があることが多いので、いざという場合には現地での通院もできますし、ホストファミリーさんがケアをしてくれるケースもあるようですが、やはり慣れている国の方が安心感はあるかもしれません。

  • 空港やフライト、移動中の感染・重症化リスク軽減

留学をするにあたっては空港へ行って、飛行機に乗って、人によってはその先で電車移動がある方もいらっしゃるかもしれません。不特定多数の国籍もバラバラな人たちが多く集まる空間にいる時間が長いですから、ここで感染をしてしまうリスクでも0ではないと考えると、その前にワクチンを接種しておくのは安心という方も多くいらっしゃるようです。

  • フライト搭乗時等のPCR検査が不要(7/5現在)

例えば日本航空の例をみてみましょう。日本航空で日本からフランスへ入国する際の条件としてPCRの陰性証明またはワクチン接種が完了している証明書※があれば入国が認められています。つまり2回接種が完了していれば、面倒なPCR検査検査も不要ということになるので、特に地方在住の方で搭乗予定のフライトの72時間前のPCR陰性証明書を準備するのが大変!という方などにとってはワクチンを2回接種した証明を提出する方が手軽かもしれないですね。ただしその際には必ず日本語のみの表記のものではなく英語やフランス語での表記が必要となりますのでご注意ください。日本語のみの表記の接種証明の場合には別途PCR検査の陰性証明提出が必要です。

参考:日本航空各国の入国制度や検疫体制について

※ワクチン接種証明書については以下記載がされている必要があります。

  1. 欧州医薬品庁(EMA)に認められているワクチン(ファイザー、モデルナ、アストラゼネカ、およびジョンソン&ジョンソン)の接種であること
  2. 二回接種が必要なワクチン(ファイザー、モデルナ、アストラゼネカ)は二回目接種後から7日後であること
  3. 一回接種のワクチン(ジョンソン&ジョンソン)の場合は、接種から四週間後
  4. 新型コロナウイルス罹患経験者は、ワクチン接種から7日後(接種は一度のみ必要)

なお証明書の形式についての指定はございませんが、入国時のトラブルを防ぐため、英語またはフランス語で記載されたもの、また、手書きでなく印字されたものをご用意ください。
詳しくは、在フランス日本大使館 出入国制限措置ページにてご確認ください。

  • ホストファミリーさんや学校など受け入れ先への配慮も

その他にあげられるメリットとして、ホストファミリーさんや学校など受け入れ先への配慮も大きなメリットと言えるでしょう。最近はフランスでのワクチン接種も進んでおり、生徒さんの受け入れをしてくださるファミリーさんはほぼ皆さんすでにワクチンの接種を完了されています。受け入れをしてもらう生徒さんの方でもワクチンの接種をされていれば、ファミリーさんも安心して受け入れをしてくれますし、学校でもやはりワクチン接種をしている生徒さんは安心して授業へもご参加いただけると思います。最近のデルタ株の流行と対面式授業の再開で、学校での感染例もいくつか報告されているので、やはり接種はしておくにこしたことはないですよね。

ワクチンを日本で接種するデメリット

上記ではワクチン接種のメリットをお伝えしてきましたが、日本でワクチンを接種するデメリットもあるのでこちらも併せて紹介したいと思います。

  • 日本の接種証明がフランス現地の衛生パスアプリに対応していないため自費での検査が必要に!

フランスではワクチンの2回目接種から7日経過すればワクチン接種が完了したとみなし、「衛生パス」が有効となりますが、この「衛生パス」に登録するためのQRコードは8月5日現在フランスで接種をした人にしか与えられません。またフランス政府の発表によれば、EU域外で(つまり日本で)発行されたワクチン接種証明は、フランス国内において衛生パスポートの代わりとして使用することはできないとしているため、PCRまたは抗原検査の結果に基づく陰性証明書を都度取得することが求められる可能性が高いと言えるでしょう。

現在のところ、フランス政府から日本語表記のみのワクチン接種証明書をもって、ワクチン接種済みとして認めるとの発表はありません。表記が日本語のみの接種証明書をお持ちの場合には、陰性証明書を取得する必要があります。なお、2021年7月26日から各市町村において、海外渡航用にワクチン接種の事実を公的に証明する接種証明書の交付申請を受け付けることとなりました。
  【参考】厚生労働省:海外渡航用の新型コロナワクチン接種証明書について

8月4日時点ではまだ上記のワクチンパスポートがフランスで認められていないこともあり、せっかく日本で2回のワクチン接種をしていても現地ではPCR検査や抗原検査を受けないとレストランやTGVへの乗車などが認められないというリスクも大いにあり得ますし、その場合日本で2回接種済みでももう一度現地で2回のワクチン接種が必要になるというリスクも考えられます。

海外渡航用の新型コロナワクチン接種証明書が使用可能な国・地域一覧(8月3日現在)

  • 日本でのワクチン接種は予約が取りにくい、まだまだ若い人を中心に予約が取れない。

フランスの場合、現在のところ外国人であっても無料でワクチンの接種が可能で比較的予約も取りやすくなっています。日本ではまだまだ地域によっては年齢制限があってワクチンの接種ができないという方も多くいらっしゃるかもしれません。また渡航までに接種ができるのが1回という方や、2回の摂取はギリギリ間に合うかもしれないけれど、ワクチンパスポートの取得が間に合わないという方もいらっしゃるかもしれません。
フランスの場合、マクロン大統領の会見後に急激にワクチン接種希望者が殺到したり、バカンスに入り、接種する側のスタッフが不足をしているという事態も報道されていますが、日本に比べると予約は取りやすく外国人であっても無料で(健康保険の加入などなくとも)接種が可能となっているようなので、現地に到着して接種を終えてしまうというのも1つ効率的な方法かもしれません。

まとめ

いかがでしたでしょうか。結局のところ日本でワクチンを接種してから渡航をした方がよいのか、または現地での接種が良いのかというのは現時点ではそれぞれのメリットやデメリットがあって何も言えないというのが現状です。

またフライトへの搭乗や入国の際には認められる日本でのワクチン接種証明ですがフランスに入国した後の移動やレストラン、美術館利用のためには認められないという不便さも現時点では残っています。

今後日本のワクチンパスポートがフランスで認められてきたり、日本のワクチン接種証明で衛生パスの利用ができるようになるまたは衛生パスの代替証明になるという場合にはやはり日本で2回のワクチン接種を終える方がメリットは断然高くなると思いますので、今後のフランス政府の対応や動向をみてご検討いただくのが良いかと思います。


参考:在フランス大使館 新型コロナ Q&A【短期渡航渡航者用意(旅行・出張)】

※渡航時のPCR検査についてやワクチン接種に関するご質問は各国の大使館や在外日本大使館、ご利用航空会社様等へお問い合わせください。