トゥールにあるトゥーレーヌ言語学院にて語学留学とホームステイを3ヵ月間ご経験をされましたが、学校、やホームステイなどいかがでしたか?
トゥールでの生活は本当にすばらしかったです。授業の質も良かったです。学校のエクスカーションでロワール地方の城をめぐったり、充実した日々を送っていました。生徒の年齢も若い方だけでなく、30代、40代の方やもっと年上の方もいらっしゃって、いろいろな年代、色々な国籍の方たちとの出会いがありました。 ホームステイも本当に大当たりのマダムでしたよ。もう20年もホストをしているというマダムでお料理を教えてもらったりしました。部屋もいつもきれいにしていただいていて、快適に過ごせました。
トゥールはパリに比べてとても小さな街なので、退屈には感じませんでしたか?
トゥールの街は清潔で、こじんまりとしていましたが、週末になるとナントやボルドーなどに旅行にもすぐ出かけられる距離だったので、とくに退屈には感じなかったです。治安の面でもあまり心配はなかったです。
トゥールへの滞在後パリへ引越しをされ、2013年11月からコルドンブルーでお料理の勉強をはじめられましたね。コルドンブルーはいかがですか?
学費が高いことでも有名なコルドンブルーですが、授業の質、事務室の対応など、本当にしっかりとした学校です。先生もベテランのシェフばかりですし、学校へ来ている人たちもモチベーションが高い方ばかり。普段の授業はもちろん、生活態度の面でもチェックは厳しく、授業に遅刻することはありえませんし、授業中の態度、服装まで細かく注意されました。生徒の国籍ですが、一番多くを占めていたのは中国人で、同じアジアでも日本人は本当に数える程度でした。
フランスに来てから大変だったことはありますか?
コルドンブルーの授業では最初、とても苦労しました。基礎クラスを1ヵ月間のインテンシブコースで受講したのですが、朝の8時半から夜22時まで丸一日授業がつまっているという日も多く、体力勝負でした。調理道具やオーブンの使い方にも慣れていなかったので、怪我ややけどばかりしましたし。私のように調理経験のないような方には、基礎クラスでのインテンシブコースの受講は正直おすすめできないかと思います。
東京のコルドンブルーとパリのコルドンブルーの違いはありますか?
パリ校の方がシェフと生徒との師弟関係は強いと感じました。パリ校のシェフは皆情熱的ではありますが、時には怒鳴ることもありました。しかし、ひとたび授業を離れるとシェフたちはふざけて生徒たちを笑わせてくれたり、フレンドリーでした。
フランス語の方はいかがですか?
コルドンブルーの授業は英語通訳付きのフランス語で行われます。実践クラスでは、シェフは生徒に応じて英語もしくはフランス語で評価を行います(フランス語しか話さないシェフもいますが)。生徒同士の公用語は英語なので、学校生活ではフランス語を使う機会はあまりありませんでした。卒業後、学校のアシスタントの仕事をしたのですが、シェフとのやりとりは基本的にフランス語なので、そこで活きたフランス語を使うことができて良かったです。レストランでのスタージュでも、コルドンブルーでのアシスタント経験が大変役立っています。
今後の予定は?
レストランでの2ヶ月のスタージュを終えてから、帰国する予定です。
最後にフランス渡航をこれから考えている方へのメッセージをお願いします。
「フランスに住んでみたい、好きな料理をしっかり学んでみたい」という動機だけで、仕事を辞めてフランスへ渡り、今に至っています。私は結婚もしていたので、留学するにあたり周りから反対されたりもしましたが、今は自分の正直な気持ちに従ってよかったと思っています。先々の事を考えると、もちろん不安や心配はまったくないとは言い切れませんが。
私はこれまで料理とは関係のない職種でずっと働いていました。帰国後、レストランの厨房で働くことは年齢的、体力的にも無理だとは思いますが、これまでの社会人経験も活かし、料理と関わっていけたらなあと考えています。
日本では留学など何か大きなことにチャレンジする時に、目的がはっきり定まっていないとネガティブなことを言われたりする場合もあると思います。しかし、純粋に自分が心からやりたいことにただ挑戦してみるのもいいんだなあということを、フランスに来て学んだ気がします。世界からフランスへ学びに来る人たちの理由は本当に、いろいろですから。留学へ踏み切ることを悩んでいる人には、周りの意見に耳を傾けることも大切ですが、まずは自分が心から納得のいく決断をしてもらえたらと思います。