就職活動を控えた大学3年生でのフランス渡航をされました。不安や後悔は?
はい。就職活動がスタートしてしまって就職をしたらもう留学に行くのは難しいかなと思い、思い切って大学3年生で半年間の渡航をすることに決めました。周りは英語圏へ留学する学生ばかりでしたし、卒業が遅れてしまうことや就職活動への影響なども少し心配はありましたが、留学から帰ってきた今は後悔はありませんし、このタイミングで留学ができたことに満足しています。
留学前は日本で日本の企業に就職することが当たり前だと思っていましたが、フランスへ留学をして出会ったいろいろな国の方たちを見ていると、仕事をするにしてもいろいろな仕事の仕方があることを知りました。25歳でも学生として勉学を続けている方に会ったり、必ずしも日本的な『就活』や『新卒』にこだわる必要もないのかな、と枠にはまった考え方以外の考えも持てるようになりました。
それから学生という立場で留学ができたこともとてもよかったと思います。というのもというのも社会人になってからでは両親の援助は受けにくくなっていたと思います。学生という立場で両親にいろいろな面からサポートをしてもらえたことは、とても大きな支えでした。エコールスイスは決して学費が安い学校ではないのですが、この学校へ行くことができたのも両親のサポートがあったからこそだと思います。
なぜフランスを選んだのですか?
同級生の多くが英語圏を選んでいる中で、英語はすでにある程度知っている言語だから面白くないかなと思い、アジア圏は日本からの距離も近く文化も似ている面が多いので、それなら言葉も文化もまったく違うヨーロッパに行ってみようかなと思いました。大学でフランス語の勉強をしていたので、フランス語に挑戦してみたいという気持ちもありました。
パリではエコールスイスに通われていましたね。学校生活はいかがでしたか?
エコールスイスは本当によかったです。小さな小さな学校で、初日は学校の入り口を見逃したくらいですが、学校の規模が小さい分、本当に生徒一人一人のケアをしてくれました。最初のころ、授業にあまりついていけていなかった私に気づいた先生は私にだけ特別、膨大な量の宿題を出してくれたり、ランチを先生やスタッフと生徒が一緒に取ったり、本当にアットホームな雰囲気の学校でした。
友人と最初は隅の方に座ってみんなの会話を聞いているだけでしたが、クラスメイトも親切な人や日本に興味を持っている人たちが多かったので、いろいろと質問をしてくれたりしながら私も輪の中に徐々に入っていけるような雰囲気にしてくれました。 膨大な宿題をこなしていくうちに、また毎日先生やクラスメイトとのランチに参加するうちにフランス語がどんどん上達していきました。
留学生活一番楽しかったことは?
金曜日の夜はよくクラスメイトや寮メイトたちとバーやクラブに繰り出していました。その間の会話はもちろんフランス語。私がまだフランス語もあまり話せない到着1週目にもかかわらず一緒に行こうよ!と誘ってもらえたことがとてもうれしかったです。こういうきっかけがあると早くフランス語が話したい!と思うので、ますますフランス語の勉強もがんばれました。
友人とそれから、ちょうど2014年6月はサッカーワールドカップがあったので、クラスメイトのみんなと一緒にワールドカップの観戦ができたこと。それぞれの国の試合のときはそれぞれの国の応援をしました。ブラジルで戦う日本チームの応援をパリのバーでいろんな国籍のクラスメイトとできたことは本当に貴重な体験です。
留学生活の中で一番印象深かったことは?
ある日突然フランス語がわかるようになった時のことは、今でも鮮明に覚えています。渡航してから1ヶ月くらい経ったある日のこと、突然先生が授業中に言ったフレーズがスッと理解できるようになりました。それまでは一つ一つの単語の意味を調べたり、考えたりしながら授業を受けていたのですがそれ以降はフレーズでフランス語を理解できるようになりました。この瞬間は今でも覚えていて本当にうれしかったです。それからフランスが話せるようになってからというもの、それまでとフランス人の対応がまったく違くなったのも印象的でした。アジア人の顔をしているのに、フランス語が話せることがわかるとパン屋さんやお店の店員さんがとても親切にしてくれたり、サービスをしてくれたりすることが何度もあって、とてもうれしかったです。
では逆に留学中、辛かったことは?
周りの友達(ヨーロッパ人)は自分たちの母国が近いので、友達や家族をパリに呼んでいたのに対し、遠く距離も離れた私の日本の友人や家族はパリに来れなかったので、ヨーロッパ人のクラスメイトが家族と会ったりしているのを見るのはとてもうらやましかったです。
それからフランスへ到着してから最初の3週間目くらいまではフランス語がまったく話せず、理解もできない状態で、本当にしんどかったです。片やヨーロッパ人のクラスメイトたちはどんどん話せるようにもなるし、上達も早くて、うらやましかったし悔しかったですね。
あとは食べ物に関してもスーパーではあまりお魚が売っていなかったり、売っていても高かったので、ほぼ毎日パスタばかり食べていて、日本食が恋しかったです。寮メイトたちと夕食を一緒に作ったりするのは楽しかったですが。
留学前にしておけばよかったことは?
とにかくボキャブラリーをもっとつけていけばよかったと思います。特に、自己紹介とか自分が何の勉強をしているかとか最低限の自己紹介をできるようにしておけばよかったと思います。私は大学で文化人類学を専攻しているのですが「どんな勉強をしているの?」と聞かれてフランス語でどう説明してよいのかわからず最初は戸惑いました。
それから、日本のことについていろいろ質問される機会も多かったですが、日本と言えば!なボキャブラリーも覚えておくとよかったと思います。たとえばよく聞かれたのは、地震について、原発について、福島のその後など、外国人が知っている日本のニュースについて質問されることが多いので、こういう単語を知っておいて、そして日本語でもざっくりとでもよいので知識を持っていることが大切だと思いました。
エコールスイスでの寮滞在をされた後、数週間ホームステイ(アフィニティ手配)もされましたがいかがでしたか?
クラスメイトの中には学校手配のホームステイに滞在していた人もいたのですが、彼らの話を聞いているとルールが厳しかったり、部屋が汚かったりご飯が質素だったりといろいろマイナスな面が多そうなイメージだったのですが、アフィニティ手配のホームステイを選んだ私は、とてもよいファミリーさんにあたりました。知識が広いマダムで歴史や地理の話も詳しくしてくれたり、話題が尽きず、いつもおしゃべりをしてくれました。ご飯もとてもおいしくて、部屋もきれいでとてもよかったです。
フランスへの留学前と留学後で変わったことはありますか?
そうですね、まず性格が格段に明るくなった!と家族や友人から驚かれました。フランスでは周りからどう見られるかとか、日本にいると気をつけていなければならないことなど変なプレッシャーがなかったので、言いたいことや自分の意見をストレートに言うことができるようになりました。両親への感謝の気持ちなども、渡航前にはあまり言ったことや感じる機会がなかったのですが留学生活を通じて感謝の気持ちをストレートに表現することができるようになりました。
日本にいる間はバイトや大学生活などで忙しく自分と向き合う機会はほとんどありませんでしたが、フランス留学中はすべての時間を自分のためだけに費やすことができた気がします。自分と向き合うことができた大きな転換期だったと思います。 卒業論文のテーマも留学してから大きく変わりました。フランスへ行き、自分の出自にとても興味を持つようになりました。もともと長崎で生まれたこともあり、長崎について、原爆についてもっと知りたい、知らなければならないと感じるようになったのです。
最後にこれから留学される方、留学を迷っている方へのアドバイスがあればお願いします。
留学をしようか、しまいか迷っている方はとりあえず行って損はないと思います。特に学生の方なら絶対に行くべきだと思います。大学生活4年間のうちの半年を留学に費やす価値は本当にあるのかな?と迷ったことはありましたが、自分が少しでも行きたいと思う気持ちがあるのであれば行くべきだと思います。たとえその国が合わなかったり留学生活が散々なものだったとしても、その経験はその先では得ることのできない貴重な経験になると思います。
8:00 | 学校上のstudioに住んでいる間はギリギリまで寝ていられます。学校近くにあるパン屋さんは朝早くから営業していたので、おいし~いパンオショコラやクロワッサンを買って朝ご飯に食べていました(フランスのおいしいパンも留学生活の楽しみでした) |
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9:00 | 登校~授業 9時~12時15分まで午前の授業 |
12:15 | ランチは先生や学校スタッフ、クラスメイトたちと一緒に学校のホールで食べることが多かったです |
13:30 | 午後はDELF対策のレッスンや午前に習った表現を使うためのオーラルの授業、それから週に1回はアクティビティで遠足や映画鑑賞などを |
16:00 | 近くのスーパーマーケットで買い物をしながら帰宅 |
16:30 | 帰宅後宿題や復習 |
18:30 | 寮の友達と一緒に夕飯準備 |
19:00 | 食&寮メイトとのおしゃべりタイム |
24:00 | 就寝 |